ストラディバリはストラディバリを真似ない。



ストラディバリはストラディバリを真似ない。
今バイオリン製作者は過去の形状を真似ることが主流だ。
まるで能面作りのようだ。こう言う型をなぞる仕事は時間をかければ素人でも出来る。今のバイオリン製作者は一台作るのに2ヵ月かけると言っている。
自らを模倣しないストラディバリは手道具だけで素材からすべての部品をも作って2週間に一台のペースで作っていた。バイオリンは作り方も値段の一部のようなものだから少なくとも人に見せる範囲では荒っぽい道具は使わない。だが、仕事の方法を価格に入れられない我々のようの仕事では使えるものは何でも使う。
こういう仕事は彫刻に似ている。
彫刻の世界では荒堀十年仕上げ三年と言う言葉がある。
一見、細かな仕上げ作業の方が難しく思うかもしれないが、実際は素材塊から大まかな形状を作る荒堀の方がはるかに難しい。大勢で作る大きな仏像でも腕のある棟梁などが最初に全体の型を作る。写真の仕事は雑に見えるが、最も難しく、重要な仕事なのだ。

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